あ〜さんの音工房

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この夏の伊丹空港

 

 今夜NHKのドキュメンタリー番組『にっぽん紀行』で伊丹空港が採り上げられていた。知らずにいたのだが、7時のニュースを観た後でテレビを点けっぱなしにしていたら、偶然出会ったのだった。



 タイトルは『同じ空見上げて〜大阪千里川土手』。以下公式HPより引用。



人は空を見上げる時、何を思うのだろう?飛行機を間近に見ることができる隠れた名所が大阪にある。そこに集う心優しい仲間たちの、切ないけれど勇気をもらえる一夏の物語。

大阪空港の南東を流れる千里川の土手。飛行機が、頭上わずか数十メートルを通過する。機体の美しさと爆音、突風に誰もがどぎもを抜かれる。そんな場所に毎日やってくる人たちがいる。中には病と闘う男性、うつ病で子供を施設に預けざるを得なかった女性など、複雑な思いや葛藤を抱えている人もいる。そんな人たちが空を見上げながら、同じ時を過ごすことで生まれる暖かな絆。そこから生まれるのは夢を信じて、一歩を踏み出す勇気だ。



 私たちが訪れた時にはここで紹介されている常連さんたちはいなかったし、ここまでの賑わいはなかった。だが『飛行機ガール』?的なお姉さんたちが撮影をしていたっけな。小一時間ほどしかいなかったが、楽しいアトラクションだったと記憶している。あとで夜が奇麗だと聞いたので、どんなんだろうと気になっていたのだが、番組内で紹介されたので溜飲を下ろせた。なるほどね、奇麗なもんだ。これだけでも観た甲斐があったよ。
 最後には仲間内の1人が故郷に帰って再出発するため、大勢に見送られながら、この空港から旅立って行った。とても良い画だったな。



 そして、もの悲しいエピローグで締めくくられたのだった。


 この番組は短い時間ではあるが、なかなかの出来のことが多々ある。今回は個人的な思い入れを差し引いても特に良かった。見逃した皆にも観て欲しいんだけど、残念ながら再放送の予定はないようだ。


 小さな幸せの共同体がそこにはあった。この手の集まりはそこかしこにあるので(クラシックギター繋がりのおじさんたちのとか)同じ趣味のコミュニティならどこででも同じようなことが起きているはずなのだけれど、番組の紹介文にある『病と闘う男性』は最後の誕生日をここに集う仲間たちに祝ってもらえて幸せだったろう。きっと、家族に祝ってもらうよりも。そう思えた。


 観終わった後は、まるで上質な短編小説を読んだがごとき感慨に包まれた。そしてこの番組に幸せとは何ぞやと問いかけられていたのだった・・・うん、まだまだテレビは死んじゃいないぜ。誰だよテレビがオワコンだって言ってた奴。いいもの観せてもらったよ。きっと、誰の足下にもこんな物語が寄り添っているに違いない。それをそっとすくい上げて、こぼれ落ちないように出来るかなんだ。


 この夏の1ページが切なくも鮮やかに彩られた有意義な時間だった。払おうな、受信料。