あ〜さんの音工房

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田舎の子が描いた絵

 

 秋だ。



 ひなびた温泉にでも浸かって、紅葉狩りでもしたい所だ。



 な、なんだこれは。ピカピカの新築じゃないか。あのこぢんまりとした温泉施設はどこへ行った? いつの間にこんなことに。
 施設の中へはただで入れるが、入湯するのに700円かかる。なかなかだぞ、700円。ほぼほぼ補助金で造ったに違いないのに、強気の価格設定だな。まあ入って見よう。
 靴箱もたくさんあって、高さのある箱も用意されているので、長めのブーツでも問題なし。さすが新築。中は絨毯で、おそらく床暖房完備だろう。さすが新築。平屋だがなかなかの広さで、売店・食堂・休憩スペースがあり、トイレも奇麗だ。さすが新築。販売機で入浴チケットを買って、もぎりのおねいさんに渡してお風呂へ向かうが、中にロッカーがあるか訊くとあるとの答え。あるある、50はあるだろう大量のロッカーが迎えてくれた。洗い場も20以上はあるので、そこそこの賑わいだったが問題なし。
 肝心の湯船だが、浅くて腰掛けられるので半身浴に最適。これはいいね。露天は温度によって2つに別れていて、6畳×2くらいの広さ。ぬるい方にはアヒルが浮かんでいた。押してみたら「ぴゃー」と鳴いた。カエルも少しいた。なんでだろ。


 上がったあと隣の施設に行ってみた。



 地産の物を売っていた。なかなかの賑わい。焼きもろこしを買った。



 秋真っ盛りの近所を散策していると



 1年前に1度だけ来たあの温泉施設を発見。閉鎖されていた。味わいのある、薄暗い洞窟のようなお風呂で、良い味出していたんだがな。閉鎖って。取り壊さないのだったら両方営業出来ないものなのだろうか? おじさんとしてはこちらを支持したいところだ。



 そばの足湯で



 先ほどの焼きもろこしを頂く。甘くて香ばしい。冷めてたけどね。




 以前、国が行った調査で「未来の街」を子供達に描かせた事があった。自分たちが住む街がどうなれば良いのかを。都会の子供達は山や川、緑を描き、田舎の子供達は縦横無尽に走り回る車や、遊園地を描いたそうだ。お互いに無い物ねだりをしたのだ。
 ピカピカの温泉施設は田舎の子供達が描いた夢を具現化したものなのかもしれない。だが、都会っ子のおじさんは、味わい深いひなびた温泉施設が恋しい小春日和なのだった。