あ〜さんの音工房

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真似と影響

 

 歌が出来た。さっき、温泉に浸かりながらまとめた。



 子供の頃、妹が少女漫画を読んでいた。『なかよし』とか『りぼん』とか『別冊マーガレット』なんかだ。私も読ませてもらっていたが、中でも小椋冬美の作品を楽しみに読んでいた。特に覚えているのが『さよならなんていえない』と言うタイトルだ。中身は何一つ覚えていないのだが、このタイトルだけが脳裏に刻まれていた。
 そしてなぜか今になって、春を待ち遠しく思いながら過ごしているうちに「新年度、新学期」「別れ、旅立ち」などと『さよならなんていえない』が結びついて、歌が出来る切っ掛けとなったのだった。



 さよならなんていえない、さよならなんていえない、と唱えているうちに、冒頭とサビの初めが出来た。なのでそこは同じ歌詞になっている。あとは新しい環境に臨む人をメンター的な立場の人が見送る設定で作って行った。
 歌詞と旋律は出来た。伴奏はイメージだけはしているが、サビからAメロの間は、卒業ソングの定番『贈る言葉』な感じで、戻るところは『いとしのエリー』な感じだ。歌詞はサビの最後「別れはいつか また逢うための 遠い遠い約束」は薬師丸ひろ子が歌って大ヒットした『セーラー服と機関銃』の冒頭に由来している。来生たかお氏が書いたこの名曲は(今では考えられないが)立錐の余地もない映画館で立ち見した私の中に刷り込まれていたのだった。
 このように似てしまうのは、真似でもパクリでもなく、影響なのではなかろうか? 「あの頃」に対するオマージュであり、「あの人」に対するリスペクトなのでは? 実は成川夫妻の間で大ヒットでお馴染みの『星は輝いてる』でも同じ事は起きていた。


 あの曲のAメロの伴奏は、私の中ではマイケル様の『クライ・フォー・ザ・ネイションズ』のリフをモデルにしていたし、ソロパートの後半は俺のエイドリアンの『ディファレント・ワールド』の終わりのハーモニーパートをイメージしていた。曲の部分ごとに転調する構成は、中島みゆき氏がももいろクローバーZに提供した『泣いてもいいんだよ』の遠隔調への転調を思い起こしていた。だが、このことを伝えたとしても『星は輝いている』を聴いた人はそれらに似ているとすら思わないだろう。しかし、確かに私はこれらの曲から影響を受けていた。



   
 さよならなんて言えない


さよならなんて 言えないさ
きっとまた逢える 気だけはしてる
指の間から 君は見てる
魔法の効かない世界


この坂の上までは 
連れて行ってあげる
そこから先の道は
勇気出して 踏み出して 歩いて行け


さよならなんて言えはしないさ
震えて眠る 初めての夜
別れはいつか また逢う為の
遠い遠い約束


逢えなくなると 嘆くのは
大切な事に 気付いたからさ
抱きしめた腕を 解かぬ君を
誰も笑いはしない


旅立ちの朝ならば 
大空を見上げろ
長い影怯えるな
勇気出して 踏み出して 歩いて行け


さよならなんて言えはしないさ
続くこの道 祝福の空
別れはいつか また逢う為の
遠い遠い約束



 前回と違って、需要もないのに出来てしまったわけだが『シャコンヌ』の合間に仕上げようと思っている。気分転換に良いしね。もう何曲か出来たら録音しようかとも思っている。ギターは自分で弾くとして、歌い手は雇おうかと思ってもいる。いろいろ思っている。



 1曲作ったらその余波で数曲分のアイデアが生まれるとは、面倒なおまけだな。でもせっかくだからこの機会に出来るだけ形にしてみようかと思う。もちろん『シャコンヌ』も絶賛継続中。地味に進んでいるよ。


 タイヤは交換しなけりゃだし、オイルもそろそろだし、イチゴ狩りに行かなきゃだし、生き生き初老クラブの集まりはあるはだし、なにかとやらなくちゃの春直前なのでした。