あ〜さんの音工房

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シャコンヌへの道 その8


「暫定動画」のより良い演奏への更新に成功した。


 前回は試し撮りだったので、今回は全体的に遥かに良くなったが、あちらを立てればこちらが立たずの演奏であることに違いはない。思わぬところでミスが出るのだ。技術的に問題なく、分割練習では10回に1回もミスしないような箇所だ。不思議な事だが、緊張と疲労によるものだろう。次の進行を余裕を持って考えている時に起こる。なにも考えずに体が勝手に動いて演奏している時には起きない。以前パコ・デ・ルシアの記録映画を観たとき「撮影や録音していると思うと途端に駄目になってしまう」と言った発言があったが、それに近い事なのか? グレン・グールドが録音中にも関わらずハミングをしているのとも共通したことなのかも。あの人は演奏に没入すればするほど歌い出すので、無意識なんだろう。そして「歌付き」のテイクが使われるのだから何も考えないで演奏した方が思い通りの演奏になると言うことなのだろう。
 ともあれ、夢中に音楽している時にはミスは起きないようだ。


 演奏時間は17分ほどに短縮された。これはマイナー部分のアルペジオの速度が速くなったからだ。この部分は編曲した時点では弾けなかった。練習を重ねてなんとか形にしたのだが、更に熟れて速度が出たのだと思われる。
 不思議なのは音色が前半と後半で変わってしまうことだ。初めの方ではこの楽器らしい音色で弾けていると思う。が、終わりに近づくほど潤いが無くなってパサパサしてしまうのだ。結尾部で主題が回想されるが、同じ楽器とは思えないほどに違いがある。これも緊張と疲労が原因だろう思われる。疲労は想定外の悪さをしていて、前回同様終わりのアルペジオからのスケールはヘロヘロだ。握力が落ちているのではなかろうか。押さえが上手く行かない。これは気合いだけでは克服出来ないかも知れないので厄介だ。
 相変わらずスケールの音色はカスカスだ。プロは他と変わらぬ音色で弾くのだから本当に感心する。どうやっているんだ? 左右の手の動きがシンクロしていないのが原因だと思うが、上手く出来ない。特に問題の箇所は、マイナー部分のアルペジオ手前のスケールで、ここは曲中で最速でありたいのでそう試みているのだが、今回は前半は大きな音が出せたが音色はカスカスで後半は音の並びがあやふやになってしまった。更に練習を重ねるしか無い。


 1時間と決めて試みて、40分過ぎからの演奏で今回の暫定動画が撮れたが、終った後の疲労はなかなかのものだ。しかもアドレナリンだかドーパミンだかが出まくっているためか、暫くは興奮が納まらない。だからなのか、前回は「オリジナル」で書き出した物が最良の音色との判断だったが、今回聴き比べてみたらJPEGの「最高品質」の方がより良いと思えた。カメラの位置を少し遠くに移動したのが原因かもしれないが、今後は両方書き出して比較しようと思う。なにがなにやら。




 まずまずの演奏なので今後これを上回ることが出来なければ投稿することになるが、今はまだ登頂したと言いたくはない。本当の頂上はこの先にあるはずだ。ミスを減らし、音色を向上させて、演奏解釈ももっと大胆にしたい箇所が出来たので、諦めずにギリギリまで挑戦を続ける。