あ〜さんの音工房

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『松のロマンス』を弾く#1

 

 和音を弾くことの困難さを痛感している今日この頃。課題曲が欲しいと探ったところ、ぴったりな逸品を発見。



 トローバ作曲『松のロマンス』。『スペインの城』という組曲の中の1曲だが、ピースで手元にあった。いずれ弾こうと手に入れて置いたのだろう。とうとう日の目を見る時が来た。


 この楽譜はクラシックギタリストにはお馴染み『GUITAR SOLO PUBLICATIONS』発刊の「トローバ・エディション」の1冊だ(GPS-73)。御大セゴビアの改訂、Jim Ferguson が手稿原譜を書き起こし、編集し、運指を付けている。アゴーギク、ディナーミクの指示も細かに付けられているので、これらの指示通り弾けば様になるだろう。だが今回はまず和音の練習曲として、もうひとつはセゴビア奏法の研究に使いたいと考えている。都合の良いことに某動画投稿サイトに1962年だというスタジオライブの様子が投稿されている。16分程度の短い物だが、演奏は極上で『松のロマンス』も含まれている。タイトルに「レアライブ」とあるが、本当に62年の収録ならとても珍しい。なぜならセゴビアは「ハウザー」で演奏しているのだから。使用楽器を60年から「ラミレス」に持ち替えたのが定説のセゴビアが、62年に「ハウザー」を使っているならレアどころか謎だ。


 頭から少し読んでみたが、みなさんご存知のようにトローバはギターを弾かなかったので、この部分には手が入れられていると思われる。



 4小節目は1小節目と呼応しているので、作曲家はこのようにバスを付けたかったのだろうが、旋律を2弦で紡ぐ都合上維持出来ないので→改訂されてこのようになったのだろう。このような発見は興味深いし、楽しみでもある。ただ楽譜通りに弾いてみるだけではつまらない。1曲をしゃぶり尽くしたい。そしてセゴビアがこの曲をどのように咀嚼し、解釈し、実演しているのかを研究してみたい。大曲は手に負えなくても、わずか27小節のこの曲ならなんとか可能だろう。多くのことが学べるはずだ。ただしセゴビアがどのように演奏しているのかを把握するのが目的で、自分で同じように演奏しようと考えているわけではない。そもそも出来るわけがない。私にとってセゴビアとマイケル様は「神」であり恐れ多い存在なのだ。



 楽しい日々になりそうだ。天変地異に見舞われないことを願うばかり。