あ〜さんの音工房

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再掲載祭り=2014年02月14日分 その3

同じ穴の狢

 

 これが諺でお馴染みの狢(ムジナ)という生き物らしい。

 

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 近所の車庫の前で寄り添っていた。私は狸かと思ったが、狢だそうだ。これほどじっくりと見たのは初めてだ。それにしても哀れな姿である。我々「野生動物観察隊」は何故この2頭がこの様な姿になったかを推測してみた。

  

 まず疑ったのは病気だ。この体毛の抜け方は尋常ではないからである。それで話がまとまるかと思いきや、ある隊員が他のジャイアン的な生物にむしり取られたのではないか、と意見を出して来た。なるほど彼らは野生なのだから十分に有り得る見解だ。さらにはそのジャイアン的な生物から歌を聴かされてストレスでハゲ散らかった可能性も否定出来ない。いやはや弱肉強食が大前提の野生とは恐ろしいものである。

 

 いずれにせよ弱り果てたこの2頭は、人家に降りて来て猫の餌を漁っていたのだ。もはや野生のプライドは微塵も無く、ただただ生きる為に必死なのだ。まるで車検に出したマイカーがいつまで経っても戻ってこないので不審に思っていると、前回に引き続きボロすぎて部品交換しなければならなくなり途方に暮れている瀕死の中年ホモサピエンスのようだ。野生の狢も世俗の中年も似たようなものなのである。

 彼らのうちの1頭は歩くのも覚束ないほど衰弱していた。やがて、そう遠くないうちに最後を迎える事だろう。その時まで、たとえヨボヨボでも良い。前のめりであれ。願わくば俯せに倒れろ。野生のプライドを取り戻せ。例え害獣呼ばわりされて、疎まれようとも。

 

 

 

 

 

雉も鳴かずば撃たれまい

 

 この山に雉(キジ)が一家族住んでいるのは知っていた。以前、雄雌に何羽かの子供達を見掛けていたからである。今日とうとうその姿を画像に納める事に成功した。ごらん頂きたい。

 

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 雉の足は速い。これまではカメラを取り出す暇もなく走り去られてしまったが、今回は何故か逃げなかった。それにしても美しい姿である。猟友会の爺さんに鍋にされない事を願うばかりだ。

 動物との共存。多民族の共存。病気との共存・・・我々は様々な物事と共に暮らす事を強いられている。昨年からは放射能汚染との共存も加わってしまい最早逃げ場はなさそうだ。この世知辛い日々の中で面白おかしい事を見つけて日々を充実させて行くのは、中々にして難しい。狭まって行くテリトリーの中でも健気に生き抜いている雉達を見習いたいものだ。

 

 路傍の花は咲き出している。桜の蕾も解けだしているが、彼方の山の頂きはまだまだ白いのである。