あ〜さんの音工房

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'19・6月の索引

 今朝は早くに起きたので、マーラー交響曲第5番を聴いた。びっくりした。

 時代の変遷によりディスクの需要がなくなり、音楽CDが馬鹿みたいな価格で売られるようになって久しい。減価償却が済んだものなどは、大作曲家の大名曲が大名演で収められているのにタダ同然で手に入る。数十枚に上る演奏家の録音全集でさえ安価であるが、ベートーベンを初めとする各作曲家の交響曲全集が、マツダの販売店へ試乗に行くより気軽に買い求めることが出来るのだ。有り難いのでいくつか入手してあるが、その中にはショルティマーラー全集もある。

 そのうち何曲かはアナログディスクで所有しているし、中でも第3番にはハマって聴き込んだこともあったが、この第5番は初めて聴いたと思う。これは期待と違うと言うか、世評通りと言うべきか・・・いずれにせよ驚愕の演奏だった。

 一言で表すと「このオケ吹部かよ」。これに尽きる。とにかく管楽器が優勢で、マーラーだったら10人→4人くらいは居るはずの弦楽5部の存在感があまりにも希薄。管がお休みのアダージェットでは、弦だけでは物足りなく感じるほどなのだ。ティンパニもかなりの存在感で弦を圧迫してくるし・・・。しかし、この盤の金管。特にトランペットとホルンは何なんだ。笑かそうとしているとしか思えない。このディスクを作曲者が耳にしたら頭を抱えてしまうだろう。こんな演奏が散見されるから、このコンビを「体育会系」だの「筋肉が聴こえる」だのと敬遠する層がいるのも納得せざるを得ないし、それを加速させている録音も頂けない。

 基本的に絶賛されるデッカの録音も、このディスクに限っては奮わない。管楽器それぞれの音像が大き過ぎだし、さらに出番の時はグッと音量を上げるので、相対的に弦楽器群が埋もれてしまい甚だアンバランス。例えると管→象1頭、弦→鼠10匹くらいな感じなのだ。せっかくダイナミックレンジも質感も優秀なのに、ミキシングで台無しになっている。周波数特性も優秀で、ティンパニの低い音程も見事に表すが、これも出番でピックアップし過ぎで定位がむちゃくちゃ。ティンパニて大抵最後列に陣取ってるもんだろ。それが突然目の前に出張って来てしまうのだから、何が何やら。全体として管と弦のバランスが破綻していて、不自然極まりない。管弦楽曲とは5部の弦楽器が屋台骨で、それに管楽器と打楽器、場合によって声楽が加わって構成されるのではないのか。「金管と愉快な仲間たち」であってはならないはずだ。

 誰が言い出したかしらないが「録音がクソ」と評されているEMIのテンシュテット盤の方がよほど自然で好ましい。広々とした音場に十分なダイナミックレンジに加え、各楽器の質感と周波数特性も良好で、優秀録音と言って差し支えない。同じ曲をショルティ盤の直後に口直しとして聴いたので(スタジオ録音の方)間違いない。なぜ巷でテンシュテット盤の録音がよろしくない事になっているのか不思議だ。言い出しっぺと加担者はEMIの録音チームに謝るべき。またネットの噂に翻弄されて買い控えている人は、安心して買うべき。この録音を不満に感じるのなら、再生機器か耳に問題があるかのどちらかだと断言しておこう。

 作曲者の想いを汲んだ気概に溢れるテンシュテット/ロンドン響の演奏は、吹部のみなさんに大好評に違いないショルティ/シカゴ響よりも心震わせる体験が出来るだろう。しかしショルティ盤には心底驚いた。ある意味貴重な体験だったよ。向こう10年聴く事はないだろうけどな。

 

2019年06月07日 褒められて、はみ出して

     13日 も少し我慢だ

     14日 語源が解ってすっきりした話

     28日 MAZDA3 FASTBACK に試乗

     29日 磁力付きドレンボルトに鉄粉は付くのか?

     30日 '19・6月の索引

 

 ブログのサイドバーにある触った事のないアイコンを弄ってみたら「You Tube 貼り付け」て機能を発見した。なるほど、これを使えばこう出来たのか。


J.S.Bach - Chaconne for Guitar Alone

 


F.Sor - Menuet Op.11 No.5

 


Andante Largo Op.5-5 F.Sor

 


Romance de los Pinos ( Montemayor)

 

 最適な音色で撮れる位置を探したはずだが、それぞれ違う。しかもどれもこれも暗い。ライトを当てたはずだがな。次回は明るく撮ろう。年末になりますけど。

 7月が始まるが、まだ暫く梅雨は明けそうもない。