あ〜さんの音工房

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トーンとボリュームにコンデンサ付けた話

 しばらく前に再生したレス・ポールだが、廃品を利用した配線がグダグダだったので、別のから移植した。

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 これも再利用だが、だいぶ増しになった。

f:id:akeyno:20210613223736j:plain せっかくだからこの機会に、トーンカット(現状)、トーン有効(0.01μFのコンデンサを取付)、ボリュームにハイパスコンデンサを追加(0.001μF)の三様の音色と使用感を試してみたい。

 一般的にハムバッカーには0.022μFの容量を使うが、高い周波数が落ち過ぎて曇った音色になってしまうので、使い物にならないことがほとんどだ(個人の感想です)。そもそもギターのトーンはハイカットする装置なので、ハイ落ちのネックピックアップにはトーンを付ける意味がない(個人の感想です)。手持ちのオールドレプリカのレス・ポールなど、コンデンサがオイルなことも手伝ってなのか?トーンを絞りようもない有様だ(ものすごく曇った平坦な音色になってしまう)。

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 コンデンサは高い周波数を通すものだが、ギターのトーンはその通した高域をアースに落として音色を変える装置だ。誰が何を基準に数値を決めたのかは知らないが、効きを少なくしたら使えるように(自分の好みに)なりはしないだろうか。それを試したい。

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 コンデンサの容量は0.01μFの35Vを用意した。「え、35Vで大丈夫なの?」ピックアップは1Vも発電しないでしょ。

 エレギの業界は不思議なもので、性能が不安定なオイルコンデンサが重宝されているが、高音質を追求するオーディオ業界では電解コンデンサか、より高性能なフィルムコンデンサーを多用するのが普通だ。だがしかし、高スペック=良い音にならないのが趣味の世界。なので低性能なオイルコンデンサでも(誤差が20-30%もある)好みの音色になれば良いワケだ。真空管を使うのも同じ理由だ。奥深いね(沼ってるとも言う)。オイルコンデンサを使っているほとんどの人は「みんながそう言ってるから」使っているだけなんだよね。散々ネットで検索してるのだろうが、自分で実験した人は1/100もいないんだ。ウチのオールドレプリカのオイルコンデンサは話にならないので、用意したのはフィルムコンデンサだ。

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「トーンはフルアップにしていても、高域はほんのりとアースに落ちているので、必ずコンデンサの影響は出る」らしい。実際どうか? 確かにコンデンサを付けたら、少しばかり柔らかくなった気はする。が、気のせいの範囲かな。プラシーボ効果の可能性が捨て切れないほど微妙な変化だ。

 音色の変化はおおよそ狙い通り。高い周波数が広い範囲で極端にカットされないので、絞り切っても使える音色を保てるようになった。絞っている間もこまめに調節出来るので(効きが弱くいきなり高域がカットされないので)、ブリッジ側はドンピシャ。ネック側も良い塩梅で、もともとが明るい音色のピックアップなので、絞り切ってもクリーン時は低い音程でも丸過ぎないし、オーバードライブさせても充分使える。凄く良いんですけど。もっと早くに試せば良かった。

 これまでトーンコントロールを使って来なかったのは、高い周波数を電気的になくすと倍音もなくなるので、つまらない音色になってしまうからではなかったのか? 平坦な音を嫌って使わなくなったのではないかな。

 「丸くくすんだ音色になってしまうので、トーンは使いたくても使えない」のなら、コンデンサの数値の変更をお薦め。ハムバッカーなら今回の0.01μFを是非試してみて欲しい。価格はひとつ数円から1万円オーバーまであるが、問題は容量なので、安定した性能で安価に手に入るもので十分だ。高価で希少なオイルコンデンサが、あなたの好みの音色とは限らないし、そもそもコンデンサの種類でそこまで音色は変わらない。重要なのは容量の数値だ。数値が違えばコンデンサに周波数の通る範囲が変わるので、操作した際の音色は大きく変わる。これまで 0.022,0.033,0.047 の数値をハムバッカーに試した事があったが、どれも高い周波数が削られる範囲が広すぎて使い物にならなかった(個人の感想です)。今回の件を踏まえると、ブリッジ側は0.01μFで決まりとして、ネック側はもうひと回り少ない容量の方が適している(個人的に好みな)可能性が捨て切れない。そしてオールドやヴィンテージと称される古いコンデンサは、見た事もないので、機会があれば試してみたい。果たして別の結果が出る可能性があるのか?

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 ボリュームにコンデンサを取り付けるのは、トーンとは反対に高い周波数を通して出力することによって、絞った時にくっきりした音色が期待出来るかららしい。これも試した事がないので、やってみよう。

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 ボリュームのハイパス用コンデンサは0.001μF50V を用意した。効果は明らかにある。ただこれは一長一短かなと思った。

 確かに音量を落としても高音域は張りを失わないが、相対的に低音域は存在感が薄れて行くので、和音を弾いた時などはバランスを欠く印象だ(低音の支えが希薄になり、ハイバランス)。もう少し容量を増やして、低い周波数までパスさせた方が良いのかもしれない。ただ、オーバードライブから絞ってクランチでカッティングするなら、低音弦が邪魔にならずに都合が良いこともありそうだ。使い方によるだろう。これはカット&トライして、最適値を見つければ有効なモデファイになると思う。現状は微妙なところだが、しばらくこのままで様子を見よう。

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 今回弄った「とんでもなく重くて希少な」(ウェイトリリーフした穴だらけの近年ものに比べて男らしいとも言う)レス・ポールのピックアップは、2015年製ギブソン57クラシックと57クラシック+。そもそもこのピックアップの音色を気に入っていて、変に高域を減らしたくはなかったので、トーンは使っていなかったのだが、これからは積極的に使えそうだ。

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 コントロールノブも交換して気分一新。

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 これからは「とんでもなく重い」このレス・ポールがメインギターになってくれるだろう。ギター本体は1999年製だが、今回ばっちりリニューアルしたんで、まだ終らんよ(配線の細さが気がかりですが)。ボリュームやトーンをコントロールしてギター本体で音色を作る楽しみが増えたしね。自分で手をかけることで愛着も湧いたし、むしろこれからだ。

 やっぱ、エレギはレス・ポールよね。