あ〜さんの音工房

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これまでの『あ〜さんの音工房』俺様版で弾いてみた編

 それ以前は10年ほどクラシックギターを弾いたのですが、楽しさの反面ストレスも感じていました。そもそもギターは和声楽器です。なので歌の伴奏をしたり、アンサンブルで通奏低音を担当したりするのに適しているのですが、どの楽器もそうであるようにギターにも名人が登場してしまい(ギターのご先祖もそうでしたが)独奏曲が発展しました。それはギターの生理に寄り添っている限りは有り難いことであったのですが、ピアノ曲や歌曲の編曲をするに至ると、アマチュアには手の出せない難物になってしまいました。そして、ギターを弾かない作曲家たちの作品が、それを決定的にしました。
 
 私も他の楽器からの編曲やギターを弾かない作曲家の作品に手を出してみた事もありますが、例え音楽的には無理なく移されていたとしても、技術的な困難さから楽しめないことが多々ありました。その際には、なるべく楽な運指を探したり、省ける音を弾かずに対応したりしていたのですが、ここで学んだ事がエレクトリックギターを再開した時にも大いに役立ちました。





 はじめの小品はランディ・ローズが作曲した「ディー」という独奏曲ですが、オリジナル録音ではなぜかクラシックギターにスチール弦のアコースティックギターが重ねられています。これは本人がクラシックギター1本では思い通りに弾く事が出来なかったからだと私は推察していますが、夭折してしまったので知る術はありません。
 一般的には本人が残した不完全なクラシックギターでの演奏をそのまま弾くか、採譜屋が1本のギターで演奏可能にした編曲版で弾く事になりますが、私は自分自身で編曲した俺様版を作りました。クラシックギターを弾く方なら無理のない編曲だと理解してもらえると思います。
 
 次の「ミスター・クローリー」はこのギタリストの代表曲であり、彼のフォロワーなら弾いてみたい曲リストの筆頭に置かれているはずですが、難解な部分をそのまま弾くのは困難または無意味ですから、こちらも俺様版を作っています。
 やはりエレキの魅力は歌うのが容易な事に尽きますね。クラシックギターでのストレスが解消出来て爽快この上無しです。





 先ほどの曲たちは原曲に寄り添っていましたが、こちらの「バック・オン・マイ・フィート」は完全に作曲されたソロパートの後のエイドリアン・ヴァンデンバーグとしては珍しいアドリブパートを自作してみました。元のパッとしないアドリブより面白い出来になったと自負しています。バッキングパートも本人のライブ演奏と違った選択をしている俺様版です。

 このように自分の身の丈に合わせ少しばかりの創作を加えた俺様版を作る事は、頭の体操にもなりますし、特に中高年の野良ギタリストには有意義であると考えているのですが、世間はフルコピーをしたがる人達ばかりでガッカリです。曲のソロパートだけを弾いて投稿している人達の気が知れませんよ。バッキングパートが退屈に思えるのなら、面白おかしく作り替えてしまえば良いではないですか。私はそうしています。ソロだけ弾くのは、おそらく道場破りのような事なんでしょうが、その曲を弾けるだけの技術を持っている人なら誰にでもコピーは可能ですから何がしたいのか意味不明です。人は擬態を喜ぶ性質を備えているので、そっくりに弾けば面白がられますが、それが何なのでしょう?

 
 演奏を公開すれば弾き方を教えてくれ、自設計自作のスピーカーを公開すれば設計図が欲しいだの、結果を出すまでの過程を楽しまなければ意義が薄れてしまうとは思わないのでしょうか?だから試験の最中に答えを教えてくれって事になるのでしょう。まったく、おかしな世の中です。

 次回はギター絡みの都市伝説に対するアンチテーゼを紹介します。