あ〜さんの音工房

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『俺様キャスター』組み立ててみた

 ストラトを自作したいんだが、自作ったって部品を都合して組み立てるだけなんだけど、スコット・ヘンダーソン

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 アンディ・ティモンズのシグネチャーモデルのネックが気になって仕方ない。

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 使い込んで汚れているのかと思ったら「ローストしている」そうだ。蒸し焼きにしてるってことなのか? 良くわからないけど、熱を加えているので変色しているらしい。御両人のモデルは高値で手が出せないし、一手間かけているからか、このネックが付いているギターはやたらと高額だ(バッカスに良心的な奴がありますが)。

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 例えばこのギターは 「ハイエンド」呼ばわりされていて、エレギにしては良い値で売られている物だが、画像左側手前から角(つの)にかけてのラインがあやふやで、明暗が付き過ぎている。なぜこうなっているかと言うと、表面からのRが弱く、その大きさが一定ではないからだ。それに比べて角の先端からネックにかけては、表面からのRが大きく取られているのが一目瞭然で、Rの大きさが違い過ぎて不自然だ。このように角の先からボデー側面にかけてRが一定でなく、角ばっているギターに、例えそれがオールド・フェンダーを模しているにせよ(この個体はエイジド仕様)「角取らないと、金とれない」が木工の常識だ。とてもじゃないがこのギターに30万も40万も出せない。いくらプレイアビリティが良くて、素晴らしい音色で、ローステッドメイプルネックが奢られていてもだ。

 だが、このメーカーは「カリフォルニアでハンドメイド」を謳っているので、わざわざ不細工にしている可能性も捨て切れない。

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 絶対にわざとだろ。角(つの)の中も痺れるほど歪んでいるし。まるでひと昔前の中国製のような整形をわざわざして、ハンドメイドを主張しているに違いないぞ。

 せっかく自作するなら是非使いたいのだが、入手出来るローステッドメイプルネックはないのだろか?

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 あった。フェンダー・メキシコの交換部品に発見。

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 良い塩梅に焼け焦げているぞ。表はグロス仕上げで裏はサテン塗装になっている。ストラトのヘッドには「フェンダー」のシールが貼っていないと良い音しないとネットに書いてあったが、これならその心配もなし。

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 ナットは取り外して

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 獣骨に交換。外れなくてとても苦労した。

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 ボデーは塗装済みの物をチョイスして、目止め・下塗りの手間を省く。

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 あやふやな部分は整形し直すが、ほどほどにして「ハンドメイド」の痕跡を残しておこうか。高精度な機械で精密に削り出されたボデーは味気ないからな。最早あの機械さえあれば、どこの国や地域で作られようが、全く同じ物が出来上がるのだから。おかげで金属部品と木材の質は価格なりだけど、木工の工作精度は非の付けようがない、有り得ないほど安く手に入るコスパ最高」なギターが存在するのだけれど。

 また同じにプログラムすれば、どこで誰が作ろうが同じ物が出来る「マシンメイド」のネックは、演奏中常に触っているので更に味気なく思う。サテン仕上げ?だかなんだか知らないが、あれは単に塗装後のベルトサンダーによる平面出しと、水研ぎと、バフがけの行程を省いてコストを下げいるだけじゃないのか。高精度に削り出されたネックもボデーも当然良く出来ているので「全く手をかけてないじゃん」以外のケチの付けようはないが、触ると冷たい感じがどうもね。触ると分かるんだよ、機械で高精度に削り出して毛羽取っただけか、機械で程々に削ったあとに手工したか。

 トレンドのエイジド加工だが、これは上記したように高精度で削り出せる機械があるなら、どこで誰が作ろうが同じ物が出来てしまうので、競争力のない国(具体的にはエレギの本場米国ですが)で生産すると、いくらブランド力があろうと、馬鹿みたいに高額な値は付けられない。よその国で作られた同じギターが低価格であるからね。なので出来上がった物に更に手を加えて付加価値を与えないと、高値を付けられないのだろうと思う。ヴィンテージギターのレプリカも同じだね。しかし本家がやってるってどうなのかね。過去に制作されたギターの模倣ではない、2020年に最新の技術を駆使して作られた、最高なエレギってないの?

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 塗装の前に、必要な穴は開けておこう。

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 このスプリングハンガーの取り付け穴が今回の工作で最も困難だった。一番大きなネジ穴を、狭いスペースで開ける。電動ドリル使えますか? 長い刃を用意しないと難しいかも。開いているボデーを選ぶのが無難でしょう。ボデーは程度の良い中古か(ハンガー付きの物が多い)、新品なら塗装・穴あけ(特にスプリングハンガーの)済みの物がお薦め。繰り返すが、ここの穴あけは難しいので要注意だ。

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 塗料は「タミヤカラー」をチョイス。色は「AS-29 灰緑」。スコット・ヘンダーソンより大部地味な緑だけど、艶なしなので磨く必要なし。この手なら素人塗装が可能なのでした。艶あり塗装は素人には困難。

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 自宅特設ブースにて塗装。ネックポケットはマスキングしよう。

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 上手に出来ました。

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 ツノの中を塗るのは難しいので、工夫しよう。

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 トレモロユニットは「ゴトーGE101T」をチョイス。取付ネジはアンディ・ティモンズ同様に4本。そもそも6本は不必要。

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 うーん、美しい。流石ゴトー製。

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 電装部の配線開始。レプリカを作っている訳ではないので拘ってはいないが、オールドタイプの線が適当な太さなのでお薦め。

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 セレクターは5ポジション。トーンは使わないのでダミーにしておく。

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 ピッアップは後々決めよう(予算も採れないし)。とりあえず手持ちのオールドなゴトー製などを取付。

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 アースを付けて

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 ボデー部完成。

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 下穴を広げてから、ネックを取り付け。

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 なんたって接着せずにネジ4本で固定する強引な取付方法。そして、そのままだとネジが潜ってしまうので金属プレートを噛ますのでした。ロックンロールだね。

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 ネックもボデーもピックガードも「フェンダー規格」なのでピッタリ。当然ながら、これらを何も考えずに都合しても組み合わない。「フェンダー規格」で揃えるのが無難。

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 予め取り付け穴と固定用の穴が開けてあるので、ペグはフェンダー純正しか選択の余地なし。

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 スコヘンと同じく手締めロックタイプをチョイス。

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 かっちょいー。しかも超実用的。

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 弦を張って調整。ウチのストラトは全てフローティング。

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 裏蓋なし。当然穴なし。 

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 立奏しないのでストラップピンなし。

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 当然穴なし。

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 トレンドなローステッドメイプルネックに、フェンダー純正手締め式ロックペグ。平面指板にジャンボフレット。ナットは獣骨に交換。艶消し灰緑のボデーは軽量なアルダー。ゴトーのGE101Tトレモロユニットに、3プライのピックガードに納めたピックアップはオーソドックスに3シングル。俺様キャスターの出来上がり。

 これから育てて行くのが楽しみだ。めでたし、めでたし。