あ〜さんの音工房

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プロっぽいけどプロじゃない人の話

 いゃー、世の中には驚く事がゴロゴロしてるもんだなぁ。ちょっと検索しただけで、馬鹿みたいなことに出会ったぞ。これは注意を促さなければなるまい。以下、エレキギターにまつわる怖い話。

 某オークションでの話。もの凄く詳しい商品説明で、評価も高い出品者だったので、エレキギターのネックを落札してみたら、とんでもない状態の物が届いたそうだ。まず逆ぞりでローポジにねじれを発見。ロッドを回して調整を試みたが、ロッドは馬鹿になっていて動かず。ナットは獣骨に交換されていたが、接着剤がはみ出したまま。止めはフレットが全体的に浮き気味で、20-22フレットは完全に浮いていたそうだ。

 あのね、ネックを売るならまずロッドが効くか確かめないと。効かなかったら不良品なのだから、ジャンク表記は必須だろ。ナットは新品に交換するのは良い事だが、接着剤がはみ出たらすぐに拭き取ろうよ。そして軽く研磨しとけ。指板がローズだと導管にしみ込むので、ついつい付け過ぎたのだろうが、そのままって。それに、がっつり取り付けてしまうと次回外すのに困るぞ。フレットの浮きは目視で解る事なんだからよく見てくれよ。この状態で「フレット擦り合わせ」だの「プレイアビリティを考慮して時間をかけて調整」だの臍で茶を沸かすぜ。幸いこの出品者は良心的な人で、返品に応じてくれたそうだが、要は「やる気はあるが、知識のない」人だったってことだ。専門家なんだろうなぁて思い込ませる事を書き連ねていたが、なにも知らない人だったんだよ、この人。あまりに立派な商品説明だったので、解らなかったんだろうね。気をつけるのは難しい件だね。こわいなー、こわいなー。

f:id:akeyno:20200811173430j:plain 一方こちらは気を付けられる「中の人」の話。某楽器店の人がブログだか、ホームページだかに、こんなこと書いていた。

「ピックアップは磁力を持っているので、微量ながら弦が磁力を帯びる可能性があります。弦が磁力を帯びると、弦振動への影響が考えられるので、出来れば避けたいところです」。

 全く意味不明だ。この人はピックアップが発電する原理を解っていない。この困った「中の人」は恐らく、磁力が強いピックアップは、弦の振動を止めてしまうので、サスティーンに影響が出ますよ。なのでピックアップを弦に近づけ過ぎたり、磁力の強いピックアップは気を付けましょうね、と言いたいんじゃなかろうか。恐らくだけど。それにしても「弦が磁力を帯びる可能性があります」はおかしいだろ。弦が磁力を帯びて磁石の代理をするから振動させると、磁石から出ている磁力線に変化が起きて、コイルに電気が発生するんだよ。そして、それがエレキギターの音色だ。弦が磁力を帯びるのを避けていたら音が出ないだろ。何考えてるんだ。

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 プロっぽいけどプロじゃない人って、どの業界にもいるからね。特にエレギの世界は奇妙奇天烈・摩訶不思議だから気を付けないとね。中の人でさえこの有様だからね。このブログに確信を持って書かれていることも、どうなんだろ。鵜呑みにしない方が良いんじゃないの。こわいなー、こわいなー。

 信じるか信じないかは、あなた次第です。